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とりあえず
二回目。

はブ本(コピー)がもうすぐ出せそうです。
いのみかが好きすぎてやばいです。

ミカどんが居合いいいいいいかっくいー!
今月号のお母さんがイケメンすぎて惚れた!
キジの顔がホラーでわろた!
ナンシーかっこよすぎて惚れた!
綾那が怖すぎてちびった!


でも更新はいしよしなんだよ。
そんなに甘くないです。男も出ます。











・やさしさケース・



すれ違う時いつも、香水に混ざって煙草の香りがした。
私はそれがとても好きだ。

甘苦い香りが鼻に残り、
すぐにあなたの像を心に結び付けられるから。


今日も、すれ違うだけで良い。
ほんの少しの目に映った記憶だけで、
すれ違った時の香りが全て包み込んでくれる気がするから。



けど、この日は少し違った。


「あ」

カラン。

パキッ。
「え」


横に並ぶか並ばないかくらいの瞬間、足の裏に違和感を覚えた。
慌てて足を上げると、足元に携帯灰皿を発見した。
ちょっとお高い感じのかっこいいデザインで。
…ホルダーの部分が完全に破損していた。

なんでまた。
わたしの馬鹿。


「ごっ、ごめんなさい!」
慌てて拾おうとすると同時に屈んだ彼女と目が合って、
初めてまともに『隣の学部で人気者の吉澤さん』と近くで目を合わせた。
今、わたしを見ている。
うわ。
目が本当に吸い込まれそうなくらいに大きい。

白くて綺麗な手が二つに分かれた携帯灰皿を拾い上げる。
「いいですよ、別に」
「いやあの、弁償させてくださいっ、おいくらですか!」
「そんなの覚えてないから、本当に大丈夫です」
「本当にあのっ、ごめんなさい!本当に弁償しますから!」
「お気持ちだけで」
「あ、っ」

すっと滑らかに立ち上がる吉澤さんを見上げる。
きっとみっともない。
吉澤さんは見てないけど。


「あらら、よっすぃーたら今日は散々ですね」
「まあそんな日もあるでしょ」

吉澤さんは連れ添っていた友人と共に足早にその場を去っていった。


それがまさかの初めての会話だった。
なんか、全身変な汗でじっとりとしていたのに気がついた。

最悪だ。
よりによって物を破壊するなんて。


落ち込んでいると、現場に居合わせていた隣にいた友達に、
わざと?って聞かれたけど、ムキになって否定した。
すると呆れて笑う。
「あはは、冗談だって」
「はいはいどうせ馬鹿正直ですよ。
 少しでも近づきたくてわざとぶつかったり、
 わざと物を失くしたりとか、
 そういう小細工できる性格じゃないもん」
「まあーね」
「不器用でごめんなさいね」

でも確かに不器用であることは事実だった。


「どうしよう、やっぱり弁償したほうが良いよね」
「まあ…どうだろうね」
「ううん。弁償するよ!そうだよ、弁償しなきゃ!」

そして、あわよくば『気のつく人だ』とか思われたり。
顔見知りになれたり。
そんなことがあったり。

が、しかし。
現実が邪魔をする。


「ねえ、どうやって渡そう?」
「…ああー」
「買って直接渡す?いや多分『誰だっけ』とか言われるよね」
「うん…かもね」
「吉澤さんって目悪いしあんまり人の顔覚えないらしいじゃん?
 ていうかそもそもわたしが直接渡せる勇気あるのかって話」
「んー」
「ていうかわたしセンス良くないもんね?
 きっと変なの選んじゃうよ!どうしよう、やっぱり無理かな?
 でもこんなチャンス、わたしにはもう二度と訪れない気もするし!
 吉澤さんの携帯灰皿もう一回踏むなんて奇跡はもうきっと…」


喋りが暴走し始めると、ぽんぽん、と肩を叩かれる。

「もう諦めなよ。向こうも忘れてるだろうから、事故だと思って」
「……」
「ね」
「……」

わたしが納得していないことを理解していたうえで、
わたしをそこから連れ出した気心知れる友達に、
とりあえず救われたような気がした。


+++


悩んで。
悩んで。
悩んだ。

何に悩んだかなんて自分に尋ねるまでもなくて、
自分が選ぶとまた辛口批評されそうだから、
無難に人気ナンバーワンってやつを選んだ。

それでも吉澤さんならば特別に見える気がした。
それはわたしの贔屓目。


吉澤さんの手に収まれば何でも素敵に見える。
とても目を引く人。
女子大でその辺の子と同じように遠巻きに噂して
擬似恋愛に似た気持ちでいるのが楽しい。

現実に近づけるなんて思ってもみなかった。
同じ人間なのに。


少しだけ、現実と憧れの境目でゆらゆらしていた。

変な気持ちだった。
いまだにこんな気持ちになれる自分をある意味自分で尊敬できる。


+++


プレゼント用に包んでもらった、クールなデザインの携帯灰皿。
買った次の日に、わたしは何もかも耳にも頭にも入らなかった。
どうしよう、どうしよう、とうろうろしているばかりの私を、
隣で友達は何も言わずに見ているようだった。


結局。
その日の帰りに添えた手紙と一緒に
吉澤さんのロッカーに入れるなんていう
昭和に廃れた行為に走った。


誰にも見つからないように。
時間が過ぎるのを講義室で一人待った。
携帯の電源も切れた。
その後思い立って、でもしばらくロッカーの周りで
うろうろきょろきょろしていたわたしはきっと怪しい人。

人気のなくなったのはもう随分時間の経った頃で、
吉澤さんのロッカーは整頓されてシンプルだった。
何度も何度も確認した。
ここで間違いない。

ゆっくりと、置き場所も考えて。
よし。


自分のロッカーに触れた時、
息が切れいて心臓が跳ね上がっていて、
喉が渇いているのにやっと気がついた。
足が震えている。
走っても走っても、家が遠かった。


青い袋の中に、値札を塗りつぶした灰皿。
手紙には、あの日ぶつかったこと。謝罪。名前。それだけ。


それでも見つけてくれる気がした。
漫画みたいに、何百といる生徒の中から
吉澤さんがわたしを砂金みたいに拾い上げてくれる期待をした。


夢みたいだけど。
絶対にないなんてわけじゃないし。
…絶対にあるわけでもないけど。

迷惑。
困惑。
携帯灰皿くらい。
そんなに高いものでもなかったし。
でも。
いきなりプレゼント。
でも。
気持ち悪い。
覚えてない。
でも。


何をしてても、いつのまにかそんなことばかり考える。


+++


わたしは毎日のようにあの日ぶつかった場所をよくうろついた。

けれど、現実にはなかなかそうもいかないものだ。
あれ以来吉澤さんには一度も会えなかった。

待ち続ける?
待つとか。
何を?何を…


でも。
でも。


ああ。

結局、憧れは憧れで夢でしかないんだと、
ため息をつきながら玄関を出た。
もしかしたらロッカー間違えてるんじゃないかとか、今更思う。
嫌な汗をかく。


「…あ」

思うより先に声が出る性格で。


久しぶりに本物がいた。
何度も思い描いた姿より、やっぱりもっと綺麗だった。

香る距離でもないのに。
姿を遠くで見つけた瞬間にあの甘苦さに包まれた。

急に心臓があたたかく、早く鼓動を打つ。
どうしようもなく嬉しくなる。
身体の奥からうずうずとした感情が溢れそうになる。


そうだ。

話しかけよう。
話しかけよう。

謝って、名乗ってみよう。
それだけで、まずそれだけでいいから。
手紙だけじゃだめだ。

きっかけは、つくるもの。



走ろうとした瞬間。


吉澤さんが立っていた門の傍に車がついた。
その車から背の高い男の人が出てくる。

男の人と、吉澤さん。
門のところで向かい合うと、吉澤さんがふわりと笑いかけた。
男の人もふわりと笑った。


暫く談笑して、男の人が煙草を取り出した。
煙草を吸う仕草の似合う人だった。
そのまま二人はぽつぽつと話しているようだ。

男の人が灰を落とす時、ポケットを探り始める。

すると吉澤さんは呆れたように笑って、あの携帯灰皿を取り出した。


迷って、迷って、迷った灰皿。


よかった。
下駄箱、間違ってなかった。
ああ。
わたしって目が良いんだなあ。


吉澤さんが笑っている。
ひとりの人間として、恋をして、笑っている。

それを恨むなんて変。
夢や理想を勝手に押し付けていたのはわたしだ。
わかってる。

彼女は一人の女性だ。
普通に恋愛する、普通の人間だ。
漫画のヒーローでも理想の王子様でもなんでもない。
がっかりするなんて、そんなの勝手だと頭ではわかってるけど。
わかってたけど、わかってなかったみたいだ。

ゆらゆらなんてしてなかった。
わたしは初めから憧れの世界に浸って酔っていたんだ。


灰皿は人気ナンバーワンなんだから、
私のあげたものではないかもしれないし。
でも、渡したものを無下にしない人だと思ってるから。


だから、そんなやさしさいらないよ。

初めから酷い人でいて。
気持ち悪いって、あんな灰皿捨ててよ。


もし顔を合わせても、
石川さんありがとうなんて絶対に言わないでね。
わたしのことは忘れてね。
忘れてるなら、思い出さないでね。


良かったら、その灰皿大切に使ってね。



わたしの感情とは裏腹に、
吉澤さんの横顔はあまりに柔らかかった。

甘苦い香りがいつまでもいつまでも香っていた。



おわり。



まあ苦情は受け付けます。

恋愛が全てハッピーエンドなわけがないわけで。
勇気を出すタイミングが良かろうと悪かろうと実るとは限らないわけで。

少女マンガでは略奪愛が美化されるけど、
実際奪われる側が主人公だったらきっとすごく後味悪いんだろうな。
結局少女マンガは自己投影ですしね。
って思ったのはいつだったか。

幼馴染だかに片思いしている女の子が、
時に幼馴染の背中を押して他の女の子と幸せになる姿を見守る。
りぼんかなんかで読んだんですよ。
その時の後味の悪さは忘れられないです。
なんだよこれと。まあ小学生だったしね。

でもそれからいくつかになって、視点について考えたんです。
その他の女の子から見たら、きっとこの主人公が邪魔に思えるんだと。
あらすじを読んだらどなたかはお分かりかと思いますが、
やじうめすずのお話のベースになった漫画です。

誰だって自分が主人公。
どんなに頑張ってもただ片思いのまま終わる恋がどれだけあるのかと。
それが漫画にならないだけ。
漫画は夢見させるお仕事ですからねw

君届のくるみが好きになれたのは
こういう風に思えるようになったからなんだろうか。


今回は是非いしよしでやりたかったです。
石川さんの空回り具合が今回は必要かと思いました。

石川さんって小説ではアクションを起こすまでは
控えめで迷ってなんだかんだ考えすぎて引っ込もうとして、
色々周囲に言われて背中を押されてやっと動きますけど
(これは石川さんに限らず、主役は皆背中を押されるもの)、

もしかしたら自分で全部考えて
全部自分で行動するほうがぽいんじゃないか?
と思ったので、ほとんど石川さんしか喋ってません。
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